不安になること、ありますよね。ここぞ、というときだけでなく、昨日やったあの仕事!などなど。日常のいたるところでやってくる不安。「不安を打ち消す方法」なんていうタイトルの本は、探せば必ず見つかるといってもいいのではないでしょうか?

【強さとは不安を脇に置いておけることである】

不安を感じるたびに、不安を感じる必要はないと自分に言い聞かせてきました。

「昨日の夜、あれだけ確認したのだから」
「いままで○○時間勉強したのだから」

「失敗しても結果は大したことではないのだから」

などなど。不安を感じる必要がない理由を一生懸命さがそうとしてきました。だからといって不安を打ち消すことができないことは多く、特に肝心の場面・ここぞという時こそ不安は大きくなるばかりでした。

それでも不安に負けてばかりではありません。消えない不安を心の中で抱きつつ取り組んだことが上手くいった経験、思い出せばきっと皆にあります。

大切な試合、大切な試験、大切なプレゼンテーションの直前。どうしようもなかった不安が体中に蔓延し、筋肉を硬直させるあの時間。悪い想像が頭をよぎり、また別の悪い想像がわいてくる。。。

ところが試合に勝利した、試験で力を十分出せた、言いたかったことがプレゼンテーションできたその時、空気中に霧散するかのように不安は消え去ります。それまで経験もしなかったような喜びが不安に取って代わり、心を満たします。

直ぐに思い出せなくても経験があるハズの成功体験。時間をかけてでも思い出してほしいです。思い出せた成功体験の直前の自分の心の中を。

不安とともに心にあったもの。それは、勝利、合格、やりとげてやるという意志に支えられた集中力ではなかったでしょうか?苦手だった動作を無我夢中で確認する集中力。最後まで苦しめられたページの暗記を頭の中でくり返す集中力。不安が頭をよぎった次にはそれらの集中力が頭をよぎる。

不安⇒集中⇒不安⇒集中

をくり返す中で、最後までこのバランスを保ち続けられたときに私は目標を達成してきた気がします。

不安を打ち消すことに必死になればなるほど、頭の中は不安でいっぱいになります。だから不安を打ち消すことに躍起になるのではなく、不安は不安。消えないものとして放っておく。

不安を心の中で放置しながら、今やるべきことをやる集中力。その集中力を持つことが強さだと思います。無知で経験のない人がビギナーズラックを手にするとき、それは強いとはいいません。なぜならビギナーズラックを手にした人の心の中には不安が無いからです。

不安は新しい知識や経験を積み重ねてきたからこそ感じるものです。ならば不安を感じられる人には新しい知識や経験が備わっているはずです。自信を持ってやるべきことに集中しましょう。

自分にはその知識や経験が足りないから不安を感じるんだ、と思うでしょうか?でも過去の成功体験は、自分に足りない何かではなく、自分が持っている何かから目をそらさずにいたときに生まれてきました。なんだっていいと思います。見つかった事を小さな事などと思わないことです。小さな事と感じるようになったのは自分が大きくなったためだから。

強さとは不安を脇においておくこと。それは不安を打ち消すことを止め、不安を感じるまでに成長した自分を信じる集中力を高めること。

私は常づね、必ずしも強くある必要はないと思っていますが、どうしても強くあらねばならないとき、つまりここぞと言う人生の勝負時には不安を否定せず、不安に思う自分を受け止めて勝負に臨もうと心がけています。

参考:「バガボンド」井上 雄彦 (著), 吉川 英治 (原作) 第六巻