肝心なときに支えになるのは意志。自分を信じきる力をくれた言葉です。

私は…を信じる。私は…を信じる方を選ぶ

主人公の一人・葵が旅先のラオスで恐喝にあった直後、ヒッチハイクしたトラックの乗るか乗らないかを決めたときの心の中のセリフ。

「信じるんだ。そう決めたんだ。だからもうこわくない。馬鹿な嘘をつき脅す男がいる世界がある一方で、仕事を放り出して足を棒にして空いている安宿を探し、礼の言葉も聞かずに立ち去る男のいる世界も、またあるのだ。おんなじことだ。竏苧ェ竏窒アの車は私を正しい場所に連れて行ってくれると信じる方を選ぶ。」

信じたくない出来事に遭遇する事は何度もあります。受け入れられずにこころが彷徨ってしまう事もあります。

悩みから抜けられず、グルグルと同じところをまわっているような気分の時もあります。

そんな状態のとき、この言葉を主人公・葵の思いと一緒に思い出せたら、一歩前に踏み出せる。信じたくなかった事を受け入れて、次に進める。そんな力強い言葉です。

「縲怩オなきゃいけない」や「縲怩オた方がいい」は自分の外側からやってきた言葉だと思います。

それに対して、「信じる」「信じる方を選ぶ」は自分の内側の気持ちを外側に出す言葉。

自分の内側からの言葉だから、自分のこころを支える言葉になる。

自分の気持ちを外側に出す言葉だから、自分の行動を支える言葉になる。そう実感します。

参照元:対岸の彼女」(角田 光代/文藝春秋)